札幌で相続放棄のお手伝いをしている司法書士平成事務所です。当事務所は札幌・札幌近郊の方をはじめ、全国の方から相続放棄のご依頼を頂戴しております。
ここで解説するのは、相続放棄のなかでも非常に難易度が高いといえる再転相続における相続放棄の熟慮期間の起算点についてです。令和元年8月9日に最高裁の判断が示されているのでここで解説いたします。
たとえば札幌市在住のAが死亡し、BがAを相続するとします。BがAの相続の承認または放棄をしないまま死亡し、CがBを相続したとします。
このとき、Cは(Aの地位を承継している)Bの地位を承継しているため、Aの相続について、熟慮期間中であれば相続放棄をすることが可能です。
ここで問題となるのは、CがAの相続放棄をする際の熟慮期間の起算点です。民法916条によると、次のように規定されているのです。
「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、どの時点を指すのでしょうか。
特に問題になるのは、Cが、Bが札幌市在住であったAの地位を承継していると知らないような場面です。
原審では、CがするAの相続放棄についての熟慮期間の起算点は、Cが自己のためにBからの相続が開始したことを知ったとき、としました。
しかし、これはあまりにもCにとって酷だといえます。Cは、BがAを相続していると知らない場合、Aの相続について承認または放棄の判断をすることは不可能だからです。
親族関係が希薄となっている昨今、Cが、BがAを相続しているという事情を知らないことは十分に考えられます。
これについて最高裁は、民法916条の熟慮期間の起算点について下記のように述べています。
先ほどの具体例に当てはめて検討しましょう。
札幌市在住のAが死亡し、その相続人BがAの相続について承認または放棄をしないで死亡し、CがBを相続しました。
CがAの相続について承認または放棄するかを検討できるのは、Cが「BはAの地位を相続している。そして自分(C)はBを相続しているのだから、自分はAの地位を承継している」と知ったときだといえます。Cが、自らがAを相続していると知らない場合は、そもそもAの相続について相続放棄しよう、などと考える余地はありません。
このようなことから、CのAの相続に関する熟慮期間の起算点は、「BはAの地位を相続している。そして自分(C)はBを相続しているのだから、自分はAの地位を承継している」と知ったとき、です。
再転相続人Cにとっては、重要な判例です。
ここで解説するのは、相続放棄のなかでも非常に難易度が高いといえる再転相続における相続放棄の熟慮期間の起算点についてです。令和元年8月9日に最高裁の判断が示されているのでここで解説いたします。
そもそも再転相続における相続放棄、何が問題?
たとえば札幌市在住のAが死亡し、BがAを相続するとします。BがAの相続の承認または放棄をしないまま死亡し、CがBを相続したとします。
このとき、Cは(Aの地位を承継している)Bの地位を承継しているため、Aの相続について、熟慮期間中であれば相続放棄をすることが可能です。
ここで問題となるのは、CがAの相続放棄をする際の熟慮期間の起算点です。民法916条によると、次のように規定されているのです。
第916条 相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。
「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、どの時点を指すのでしょうか。
特に問題になるのは、Cが、Bが札幌市在住であったAの地位を承継していると知らないような場面です。
酷な原審の判断
原審では、CがするAの相続放棄についての熟慮期間の起算点は、Cが自己のためにBからの相続が開始したことを知ったとき、としました。
しかし、これはあまりにもCにとって酷だといえます。Cは、BがAを相続していると知らない場合、Aの相続について承認または放棄の判断をすることは不可能だからです。
親族関係が希薄となっている昨今、Cが、BがAを相続しているという事情を知らないことは十分に考えられます。
令和元年8月9日の最高裁の判断
これについて最高裁は、民法916条の熟慮期間の起算点について下記のように述べています。
民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである。
先ほどの具体例に当てはめて検討しましょう。
札幌市在住のAが死亡し、その相続人BがAの相続について承認または放棄をしないで死亡し、CがBを相続しました。
CがAの相続について承認または放棄するかを検討できるのは、Cが「BはAの地位を相続している。そして自分(C)はBを相続しているのだから、自分はAの地位を承継している」と知ったときだといえます。Cが、自らがAを相続していると知らない場合は、そもそもAの相続について相続放棄しよう、などと考える余地はありません。
このようなことから、CのAの相続に関する熟慮期間の起算点は、「BはAの地位を相続している。そして自分(C)はBを相続しているのだから、自分はAの地位を承継している」と知ったとき、です。
再転相続人Cにとっては、重要な判例です。